決して焦らないこと

心の内面について

親父からのアドバイス

 よく石の上にも3年という言葉がある。何事もある程度じっくり腰を据えてやらないと身に付かないということわざである。

 自分が選択した道であるならば、ある程度腰を据えてやらないと道が開けてこないと、今までの経験からそう思う。選択した道が相当ひどい状態であれば別だが、そうでなければじっくりと構えてみることだと思う。

 私が就職する時に親父から言われたのは、最初は人の言うことを素直に聞いてその仕事を真似ること。そして仕事が身に付いてきたら自分なりに改善してみること。最初から自分でやってみよう、改善してみようと思わないこと。まずはその仕事の全体像を見極めてから動くこと。こういった事を教わった。

 会社に就職してからは、親父から言われた事を守り、先輩や上司の言うことをしっかり守り仕事を覚えてきた。1年経てばその仕事の年間のイベントがわかるので、2年目からはある程度予測がつくので事前準備ができる。3年目に入ると課題が分かり次年度に向けて改善内容が分かってくる。

 若い頃はこうやって仕事を覚えてきた。あまり先々を見ず、焦らずにこなしてきた。これがいつからか出来なくなってきたように思う。

会社に長くいることでの焦り

 会社に30年近くいると、だいたいのことは予測できるので、どしても考えが先走ってしまう。そうなると、あれもやらないといけない、これもやらないといけない、といった焦りが出てくる。仕事を知っているが為に先が見えてきて、それが焦りになる。

 仕事に限らず、生活の場面でも色々と焦りが出始めてきた。大きくは資金面である。定年退職後、老後の資金は大丈夫なのだろうかといったことが不安になってきた。

 先々のことは読めないことは重々承知しているのだが、どうしても考えてしまい不安になる。悪循環である。

 こういった考えが、40歳になった頃から漠然とするようになった。起きもしていない事を不安がる。だけど、この頃は、先のことは誰にも分からないし、分からない事を考えてもどうしようもない。仮に将来に不安を抱えているのであれば、今から少しづつ準備をすれば良いんだ、と思うようになってきた。

老後のこと

 老後の資金面については、今からは大きな貯蓄もできないかもしれないが、少しづつでもやれば少しは足しになるだろうと考えるようになった。始めなければ物事は進まない。今継続している積立貯金や会社の積立年金を継続し、その他には家計費を可視化するなどしてしっかり見直すこと。

 家計費の可視化だけでも、やるとやらないのでは安心感がまるで違う。今どのぐらい収入があって何に支出しているのかを知ることはとても重要。

 そして、老後の事を考えるのにもう一つ重要なのが、健康維持である。仮にお金があっても健康な身体がなければ宝の持ち腐れになってしまう。

 この頃は、ジョギングも少しづつ始めている。今までみたいに、10km、20km走るのは難しいが、少しづつ時間と距離を伸ばしていきたい。何より、体力をつけることに集中したい。

 50歳を過ぎ、会社では同期が自分より出世したりして、そう言うのを見ていて焦りを感じていた。自分ではそこまで出世したくないと思いながらも、なぜあの同期は出世できたんだろうと、悶々とした思いをしてきた。

 自分がそこまで頑張ってきた訳でもないのに、同期を羨み妬んでしまう気持ちが芽生えてきていた。そんなところに、昨年5月、体調を崩し休職することになった。

 自分の中で、何か焦りみたいなものが出ていたのではないかと思う。50歳を過ぎ、このままこの会社で定年まで過ごすことになるのか、定年までモチベーションは保てるのか。他の会社に転職できるのか。転職するにしても自分は何がしたいのか。

 自分の考え、軸が定まっていなかったので、焦りが出てきた。それに加え管理職としてのプレッシャーも重なり、ダウンしてしまったのかもしれない。

スピードを落としてみる

 今回、休職をしてじっくり自分に向き合う時間を持てたことはとても大きいと思う。自分の人生を他人と比較しても、何の足しにもならない。他人が自分の人生を生きるわけではない。自分のことは自分で決める。

 そう考え始めると、決して焦ることはないんだと、思えるようになってきた。自分の価値観や時間軸で考えれば良い。いくつまで生きられるか分からないが、今から始めても全く遅くない。やらないよりはやった方が充分良い。

 会社の中だけが世界ではない。会社は長くとも65歳まで勤められるが、その先もっと長いかもしれない。

 今はこれまで進めてきたスピードを少し緩め、周りの景色をじっくりと楽しむような暮らしをしていきたい。周りと歩調をわせながらも、周りの考えやスピードに必ずし合わせることはない。スピードを緩め、自分のペースを保てれば、焦ることも少しは無くなるのかなと思う。

 スピードを落とすことが、大事なのかなと思う。

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