本を読むことについて

読書のこと

 これまで読書といえば、啓発本や小説を読む事が多かった。特に管理職になってからは、管理職としての心構えみたいな本とかマネジメント系の本を読む事が多かった。

 今読んでいる本はそういった啓発本ではなく、何かもっと本質的というか、生きる上で根本的な礎になるような本に巡り合いたいと思いながら本を選んでいる。

 最近読んだ本としては、「学校の当たり前をやめた」、「思考の整理学」、「教養としての社会保障」、「形には理由がある」、「人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」、「経済ってそういうことだったのか会議」、「戦前日本のポピュリズム」などである。

 

 中でも印象に残っているのは「思考の整理学」、「人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」、「戦前日本のポピュリズム」である。

 「思考の整理学」は、思考するということについて様々な例えを用いて説明している。自らの頭で思考することは当たり前であるのだけれど、一旦思いついたアイデアを寝かすことが重要であること。そして積極的に忘却することで本質的なものが見えてくる。思考のあり方について非常に考えさせられる本である。

 「人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」は、認知バイアスの話である。人には様々な認知の偏り(バイアス)がある。世の中で起きているものはこの認知バイアスが元になっていることが多いとある。 本のタイトルにもある通り、人は運を実力であると勘違いしていることが多いと説く。たまたま属している組織が良かったのかもしれないし、100%自分の力で成し遂げるということはほとんどないのではないか。

 勘違いさせる力とは、この認知バイアスにより思考の錯覚が起こり過大評価することにある。筆者はこの思考の錯覚をうまく利用して少ない労力で最大の力を発揮していった方が有利であるとしている。

 このような認知バイアスに関する知識はとても有効だと感じた。これを知っているだけで、物事への判断を見誤らせることはないのではないかと思う。

 「戦前日本のポピュリズム」は、大衆動員政治が実は戦前から実在していたというものである。日比谷焼きうち事件から大衆動員政治の兆候が出始め、日米開戦に至るまであらゆる場面でこの大衆動員政治が強く影響してきたことがわかる。ここにはマスコミの力というものがとても強く作用していることも書かれている。

 現代でもマスコミの力によって大衆の考えが左右されていることは、様々な事象から見えていると思う。この本を見ていると、現代でも政治の体勢は大きく変わっていないのではと感じてしまう。こういったことが日本人の特徴なのかどうかわからないが、非常に考えさせられる本である。

 ありきたりではあるけど、本からは知識はもとより筆者の考え方やその道筋を見ることができ、自分にはこれまで無かった素養などを取り込むことができる。

 難しい内容だと一度では理解できない所も出てくるが、何度も繰り返し読んでいると何となくだが分かってくる。その時理解できなくても、後から読めばそういうことかと分かる時もある。

 本を読むときは、あまり急がずにゆっくり読むよう心掛けている。仕事上の資料であれば別だが、こういう本を読むときは自分の教養の肥やしになるよう、じっくりと読みたい。

 また、手にとって読んでみてあまり面白くなさそうだなと思ったら、潔く読むのをやめる。せっかく読み始めたのだからと最後まで読むのは、精神衛生上良くないと思う。つまらないと思ったらキッパリと読むのを諦める。

 若いときは速読のスクールなどにも行ったが、やはり読みたいと思う本に出会ったらじっくり読みたいと思う。筆者の思いや考えをなぞるようにじっくりと読む。

 これからも、読み継がれている良本を読んでいきたいと思う。

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